コスメニスト

化粧品研究員に教わった知識をベースにコスメ解説しています。

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オールインワン(リンスイン)シャンプーのホント

オールインワン(リンスイン)シャンプーを耳にした事はあるでしょうか?
今回はリンスインシャンプーのあれこれについて話して行きたいと思います。


シャンプーの歴史
1960年 液体シャンプー発売
1975年 家庭用リンスの発売
1989年 リンスインシャンプーの発売
2001年 弱酸性シャンプーの普及がはじまる
2010年 ノンシリコーンシャンプーが人気になる
2017年 ボタニカルが人気になる
調べてみて驚きましたが、意外とリンスインシャンプーは昔からあるのですね。

 

リンスインシャンプーの仕組み
 リンスインと言いますが、シャンプーにリンス(コンディショナー)を混ぜているわけではありません。原理が全く異なります。
 まず、リンスはコンディショニング成分であるカチオン界面活性剤と高級アルコールにてαゲルと呼ばれる液晶を作ることでクリーム化しています。ダメージを受けた毛髪は、マイナスに帯電しているため、プラスの電荷を有するカチオン界面活性剤と吸着することでコンディショニング効果を発揮します。
 一方で、シャンプーはカチオン界面活性剤を多くは入れられないため、代わりにカチオン性高分子を配合しています。このカチオン性高分子は、製剤中では安定して存在していますが、すすぎ時に水で希釈されると、コアセルベーション(アニオン界面活性剤とカチオン性高分子が吸着、凝集する現象)を起こします。
 このコアセルベーションによりできた、凝集体(コアセルベート)が毛髪に吸着する事でコンディショニング効果を発揮します。

詳しくは下記リンクを覗いてみて下さい。

www.kao.com

 

せっかくここまで読んでくださったので、より理解を深めて頂くために問題を用意しました。是非解いてみて下さい!

 

問題
コアセルベートを形成させるのに必要なカチオン高分子はどれでしょう?
ヒント ポリクオタニウム〜 がつきます。

・商品名 YOLU  ディープナイトリペアシャンプー

・全成分

水、ラウロイルメチルアラニンNa、ココイルメチルタウリンNa、コカミドプロピルベタイン、コカミドDEA、ラウレス-4カルボン酸Na、水溶性コラーゲン、加水分解ヒアルロン酸ネムノキ樹皮エキス、ブドウ果実エキス、ハナビラタケエキス、ビャクダン木エキス、グリセリン、ポリクオタニウム-10、オクチルドデカノール、トリイソステアリン酸PEG-120メチルグルコースクエン酸、BG、EDTA-2Na、フェノキシエタノール安息香酸Na、香料

 

答え 

リクオタニウム-10


解説 

アニオン界面活性剤(ラウロイルメチルアラニンNa、ココイルメチルタウリンNa、ラウレス-4カルボン酸Na)とカチオン性高分子(ポリクオタニウム-10)はコアセルベーションを起こし、コアセルベートを形成します。

それではまたお会いしましょう!

 

化粧品のシリコーンのホント

化粧品に配合されているシリコーンについて解説します。

 「シリコーンってよく耳にするけれど、具体的には良く知らない」そんな方は是非目を通してみて下さい。

化学組成について
 一般的な化粧品に配合されるシリコーンは、ケイ素(Si)と酸素(O)が交互につながったシロキサン結合(-Si-O-)を基本骨格にした合成高分子の総称になります。

 ※シリコンはケイ素(Si)そのものであり、シリコーンはケイ素(Si)から誘導される合成化合物で、別物ですので気を付けて下さい。


シリコーンの配合目的について
 滑り性(櫛通り性など)やベタつきの調整(サラサラ感、つるつる感の付与など)、光沢(艶感)付与、ヘアコンディショニング効果の付与、撥水性の付与などの目的に使用されます。


安全性について
 前提としてシリコーンは国内においては1980年代から使用されており、安全性が高く評価されている成分になります。
 ネット上ではシリコーンは、毛穴がつまり、ニキビができたり、毛髪の成長を妨げるといった情報があります。しかし、シリコーンが毛穴詰まりの原因となるかを検証する実験が行われ、結果、そのような事実は確認できませんでした(引用文献1参照)。
 また、花王㈱ではシリコーン配合自社化粧品において、パーマのかかり具合やヘアカラーの染まり方に影響しないことも確認されていました。(引用URL1参照)


まとめ
 上記よりシリコーンは非常に安全性、使用性においてとても優れた成分であり、化粧品に配合されているからといって化学的観点から忌避する要因にはなりえないと考えております。

 

引用文献1:
堀江 豊(2014)「シリコーンヘアコンディショニング剤」化粧品の安全・安心の科学 -パラベンシリコーン・新原料,128-136.
引用URL1:

https://www.kao.com/jp/innovation/safety-quality/ingredients-contained/silicones-policy/

 

 

 

化粧品成分分析おすすめサイト

化粧品成分を調べてみたい!そんな時に便利なサイトを紹介します。

①化粧品成分オンライン 

リンク:化粧品成分オンライン

化粧品成分の配合目的、配合量、安全性が科学的根拠に基づき網羅されています。

【こんな方におすすめ】

・化粧品成分がどういう成分なのか知っておきたい
・化粧品成分にどのような効果・役割があるのかを知りたい
・化粧品成分の安全性(皮膚刺激や皮膚感作(アレルギー))が起こる可能性があるか調べたい

 

@cosme shopping 

リンク:化粧品・コスメ・ビューティーなら@cosme公式通販サイト、@cosme SHOPPINGへ

ショッピングサイトで、化粧品の価格、全成分、容量、商品説明が詳細かつ丁寧にまとめられております。

【こんな方におすすめ】

・購入したい商品の全成分、容量、価格等を知りたい

 

【おすすめの使い方】

気になる商品を②@cosme shoppingで検索して全成分を入手します。その後、①化粧品成分オンラインで気になる成分を検索して、安全性や配合目的、効果を調べてみてはいかがでしょうか?

 

 

 

クレンジングオイルの作り方

クレンジングオイルの作り方について解説していきます。

【イメージ画像】

【材料】

①トリイソステアリン酸PEG-20グリセリル(オイルクレンジング 乳化ワックスOCL) または ポリソルベート80 10g

②ホホバオイル または オリーブ油 90g

【調整方法】

①と②を混ぜ合わせるだけ!

ポリソルベート80は混ぜ合わせると濁りが出る事があるので、トリイソステアリン酸PEG-20グリセリルをおすすめします。

 

※注意

あくまで手作りなので、高温下での長期保存は避け、自己責任にて早めに使い切ってください。

異臭や濁り、着色等が生じた場合はすぐさま破棄してください。

皮膚に赤みや腫れ、かぶれ等生じた場合は使用を中止し、医師等の診察を受けてください。

手作り化粧水を販売する事は法律で禁止されております。

 

 

 

 

化粧水の作り方

【用意するもの】

精製水、グリセリン、0.5%フェノキシエタノール、キサンタンガム



精製水(もしくは煮沸した水)

グリセリン

0.5%フェノキシエタノール(防腐用で、無ければ冷蔵庫保管で1-2週間で使い切り推奨になります。)

キサンタンガム(とろみ付け用、無くても良いです。)

【手順】

① まずグリセリン15gとキサンタンガム0.75gを混ぜ合わせて分散させます。
② その後、混ぜ合わせた①を精製水44.25gに投入し、撹拌しながら60ー80℃で溶解するまで加熱します。
③ 水が30℃位まで冷めたら0.5%フェノキシエタノール液(240g)を加えて均一になるまで溶解します。

④ ②で数g蒸発するので、蒸発した精製水分を足します。
これで、手作り化粧水(300g)の完成です。

※注意

あくまで手作りなので、高温下での長期保存は避け、自己責任にて早めに使い切ってください。

異臭や濁り、着色等が生じた場合はすぐさま破棄してください。

皮膚に赤みや腫れ、かぶれ等生じた場合は使用を中止し、医師等の診察を受けてください。

手作り化粧水を販売する事は法律で禁止されております。

 

 

YOLUヘアマスク解説

YOLUのヘアマスクについて解説します。

YOLUのヘアマスクは他ヘアマスク製品と全く異なる点が一つあります。

 それは透明感のあるジェルであること!当たり前だと思うなかれ。ヘアマスクでジェル化するのはかなり難しい事なのです。

 厳密には違いますがざっくり説明すると、油を乳化すると白くなりますよね(イメージはマヨネーズ)。それを透明に近づけたと思って頂ければ、凄さが分かるかと思います。方法は2通りありまして

乳化粒子を可能な限り小さくする。

→ヘアマスクは厳密には乳化ではないので違う?

油相と水相の屈折率を近づける。

→屈折率を油相に近づけるため、グリセリン、イソペンチルジオールを水相に沢山入れたのではと推察。

 企業努力に脱帽です。ではそれぞれ解説していきますね。

 

①カームナイトリペアジェルヘアマスク

ネロリ&ピオニーの香り】

 ジメチコン(シリコーン)、ビスセテアリルアモジメチコン(アミノ変性シリコーン)、グリセリン(保湿成分)が多く配合されておりドライ後までしっとりと仕上がります。

 また、㈱クラレ様が開発された、保湿成分でありながら毛髪補修効果のあるイソペンチルジオールを配合しています。髪の広がりを抑えて、しっとり仕上げたい方向けです。

 

②リラックスナイトリペアジェルヘアマスク
【ペアー&ゼラニウムの香り】

 ①と同様、ジメチコン(シリコーン)、ビスセテアリルアモジメチコン(アミノ変性シリコーン)、グリセリン(保湿成分)が多く配合されており、また、イソペンチルジオールを配合する事で、毛髪補修効果を付与しています。

 ただし、シリコーンは①より配合量は少なく、セバシン酸ジエチル(液状の油、エステル油)、PEG-90M(感触改良成分)、PPG-3カプリリルエーテル(コンディショニング成分)を入れる事で、サラサラ感をUPしています。髪のごわつきを抑えて、サラサラに仕上げたい方向けです。

 

それではまた。

 

 

リンス、コンディショナー、トリートメントの違いがわかる!

〜リンス、コンディショナー、トリートメントは同じ?〜
違いと配合成分について例題を用いて分かりやすく解説します。


ハッキリ言うと製法は全て同じです。
 いずれもカチオン界面活性剤(〜クロリド)と高級アルコール(〜アルコール)を用いてαゲル(液晶)化し、そのαゲル中に油分(シリコーン、植物油、炭化水素油、エステル油)を閉じこめることでクリーム化しています。ですので、基本的に同じものです。

 ただし商品コンセプト上、トリートメントは高級感を出すためコンディショニング成分を多く配合する事が多く、毛髪の仕上がりは下記の用になる可能性は高いです。

トリートメント>コンディショナー、リンス


★クイズ
 以下に「大島椿プレミアムトリートメント」の全成分を載せましたので、カチオン界面活性剤、高級アルコール、油を見分けてみて下さい!


(全成分)
水、カメリア種子油、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、ジメチコン、ベヘントリモニウムクロリド、(ここから配合濃度1%以下)ツバキ種子エキス、ツバキ花エキス、ツバキ葉エキス、ジココジモニウムクロリド、クオタニウム-33、BG、エタノール、イソプロパノール、クエン酸、メチルパラベン、香料


(ヒント)
カチオン界面活性剤:語尾に(〜クロリド)がつきます。
高級アルコール:語尾に(〜アルコール)がつきます。
油(シリコーン含む):語尾や語中に(〜油、〜メチコン、〜酸〜)がつきます。


(答え)
カチオン界面活性剤:ベヘントリモニウムクロリド、ジココジモニウムクロリド、クオタニウム-33(18-MEAをカチオン化したものなので特例です。ごめんね)
高級アルコール:ステアリルアルコール、セテアリルアルコール
油分:カメリア種子油(椿油)、ジメチコン(シリコーン

 

(解説)
 化粧品は配合量が1%より多いと、多い成分順に記載する事が義務付けられています。2番目にカメリア種子油(椿油)が5番目にジメチコン(シリコーン)が記載されているため、油分が多い事がわかります。椿油が多い+シリコーン配合ですので、しっとりとまとまるトリートメントと推測できますね!
 また、基本的にエキス類(〜エキス)、防腐剤(メチルパラベン)、ph調整剤(クエン酸)、香料は1%以下になります。そのため今回はツバキ種子エキス、ツバキ花エキス、ツバキ葉エキスから下は1%以下だと判断しました。

 是非、気になる商品の成分を確認してみて下さいね!